上野まり子のアジアンスター

桐谷美玲美しき変顔で魅せる映画『ヒロイン失格』英勉監督インタビュー


ヒロイン失格
© 2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 © 幸田もも子/集英社

 こんにちは 上野まり子です。
今回は桐谷美玲の美しき変顔で話題の映画『ヒロイン失格』の英勉監督へのインタビューをお届けする。

 CMディレクターを経て、『ハンサム★スーツ』で映画監督デビュー、『高校デビュー』、『行け!男子高校演劇部』と快作コメディを連打してきた英勉監督。前作のホラー『貞子 3D』や最新の本作『ヒロイン失格』も含め、毎回若手スターから新鮮な表情を引き出してきた。 そのユーモア溢れる演出法や、コメディのさじ加減、原作コミックへのアプローチ法 についてお話を伺った。

ヒロイン失格
© 2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 © 幸田もも子/集英社

■ 映画監督になりたいと思ったミーハーな動機

 大好きな薬師丸ひろ子さんに会えるかと思って映画監督を目指した。薬師丸ひろ子に会うためなら俳優になるか、大島(渚)さんとか、篠田(正浩)さんのように監督になって結婚するかだとミーハーな動機だった。学生時代に自主映画を撮ってました。“ちゃらいラブコメとか”

■ 伸びしろ未知数の若手スターには、なめられること

 若手の演出について、まずはなめてもらう事。勿論“下手くそ!”などとは絶対に言わない。撮影前に丁寧に具体的な話をする。「何を言ってもいいおっちゃん」と思ってもらう事にしている。

■桐谷美玲 はとり役

 はとりは喜怒哀楽だけじゃなく、すべての感情をバーンと出す子。切れるし、叫ぶし、飛ぶし、こけるし、ぶつかるし、痛がる。はとり役の桐谷美玲には、それらの全部の感情を出すように指示した。 桐谷の変顔は、その一つでしかない。桐谷は「はい、やります」と言ってくれた。 「実際、こっちもむちゃくちゃ気は遣いましたよ。こけろとか、不細工な顔をしてくれとか、オエーッとやってくれとか注文を出すわけで」。桐谷はプロ意識が高く、腹はくくっていたし、苦手なダンスも、撮影の合間を縫って練習していた。「できた人やな」と思った。

■山ア賢人/利太役 坂口健太郎/弘光役

 山ア賢人が演じる利太はぶっきらぼうで、今っぽく、ぼそっとひと言しかしゃべらない子。たとえば「何?」とか、手をつなぐ時も「手!」としか言わない。そういう感じで撮影を進めた。 言い回し1つについて説明することもあるし、イメージとして伝えることもあった。 坂口健太郎が演じた弘光は、全体を客観視している人物で、「サッカーで言うと、ボランチの遠藤(保仁選手)みたいな感じで」と言ったら、坂口は「ああ、わかりました」とすんなりやってくれた。

■ 原作コミックの映像化の際には、リスペクトの念を忘れない

 コミックの映画化は何本かやっているが、原作に対しリスペクトはしている。だからコミックのどの魅力を残して、映画なりの魅力をどこにつけるかについて、一番気をつける。今回はキャラクターの精神面や、たたずまい、感情は原作からぶれることのないように、原作のキラキラしているところを生かしたつもりだ。 また、原作は基本1回だけ読んで、セリフを拾いにいったりする以外は、以降読まない。撮影を進めるうちに、役者のセリフが元々原作にあったものなのか、それとも台本にあったのか、あとで役者がやったのか、自分自身がわからなくなる。

■今回トライした、コメディ演出の新しい試み

 本作は完全なラブストーリーを撮ったつもり、コメディだとは全く思っていない。台本上は「笑わしたれ」という方向には行っていない。笑いの9割はヒロイン・はとりから生まれ ているが、もしも笑えたのなら、彼女から派生した感情や、役柄からきた面白みだと思う。 中尾彬が出てくる面白さも、柳沢慎吾や六角精児のくだりも、彼女のなかにあるパロディ精神からきたもので、変に「面白いでしょ」と「笑わし」にかかっていない。ただ、はとりが キラキラすれば笑えてくるのかもしれない。 真っ向からラブストーリーを作ったつもりで、そういう意味では面白ければ良いという今までの作品とは全く違った。やっていて怖かったし、ドキドキもした。笑いの バランスを取る事が大切で、これまでの作品のなかで、いちばんさじ加減を図った。

インタビューby CREATIVE VILLAGE



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■作品情報
『ヒロイン失格』

9月19日(土) 新宿ピカデリー他全国ロードショー
原作:幸田もも子(集英社「マーガレットコミックス」)
監督:英勉『貞子3D』他
出演:桐谷美玲 山ア賢人 坂口健太郎 福田彩乃 我妻三輪子 高橋メアリージュン 中 尾彬 柳沢慎吾 六角精児 濱田マリ 竹内力
配給:ワーナー・ブラザース 映画
オフィシャルサイト
© 2015 映画「ヒロイン失格」製作委員会 © 幸田もも子/集英社
【ストーリー】
 女子高生・松崎はとり(桐谷美玲)は、ずっと幼なじみの寺坂利太(山ア賢人)が大好きで、利太の彼女になるのは自分しかいないと思い込んでいた。ところがある日、利太は、目立たない地味な女子・安達未帆(我妻三輪子)とつき合い始めてしまう。撃沈するはとりだったが、気持ちを切り替え、今度は利太の略奪作戦を開始。その一方で、学校一のモテ男・ 弘光廣祐(坂口健太郎)から猛アタックされ、心が揺らいでいく。


「上野まり子のアジアン・スターインタビュー」



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