上野まり子のアジアンスター

チャン・イーモウ監督×コン・リー主演映画『妻への家路』3月6日(金)公開


妻への家路
妻への家路
© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved
2015年3月6日(金)
TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

 こんにちは 上野まり子です。
世界の各メディアが絶賛し、巨匠スティーブン・スピルバーグに“涙が止まらなかった”と言わしめたチャン・イーモウ監督作品『妻への家路』が3月6日(金)公開される。主演は『紅いコーリャン』や『秋菊(しゅうぎく)の物語』、『活きる』などで各国の映画祭で栄えある賞を席巻し、中国映画に新たな歴史を樹立した監督との名コンビ、コン・リー。8年ぶりのタッグとなる。夫役にはイーモウ監督が中国最高の俳優と絶賛するチェン・ダオミン。

 夫婦役の二人のキャスティングは最初にして唯一だったと話すチャン・イーモウ監督。二人も物語の些細な事柄に対し数多くの建設的な意見を提案したという。彼らから多くを学んだと話す監督は「彼らはキャラクターを演じることを遥かに超えた素晴らしい貢献をした」と感謝を述べている。

妻への家路
© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

 コン・リーが演じたのは妻、馮婉玉(フォン・ワンイー)、引き裂かれた20年という歳月の心労により、夫への愛は変わらないのにその姿や顔を忘れてしまうという難しい役。彼女はこの病気を患った人たちの肉体や心理を実際に病院や老人ホームで体感し、役に臨んだ。イーモウ監督はその過程を”生活体験”と呼び、俳優ならだれでもやるべきこと、クリエイターとしての自分とリーの昔からの習慣だと話す。また見た目の扮装は一つの手段に過ぎず、内なる演技でキャラクターを演じるのが優秀な役者の証だとする。リー自身素晴らしい役だが、演じるのは難しく、不可能な任務に挑んで、全く新しいコン・リーを見せているような気持だったと振り返りながら、その挑戦を楽しんだからこそ演技への情熱も感じることができたと語っている。歴史の悲しみに引きずられない素晴らしい映画と語る夫、陸焉識(ルー・イエンシー役のチェン・ダオミン。観客に家族の再会と希望という、愛情を超えた何かをもたらしているとした。

妻への家路
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 また二人の娘丹丹役には新人チャン・ホエウェン。初めから若手人気スターをキャスティングするつもりはなかったというイーモウ監督は、初めて彼女と会った時の印象について、「彼女の輝く瞳は、若き紅衛兵のオーラがあった」と話し、文化大革命が終了した後を描いた映画後半では彼女の目の変化が重要だったと振り返る。

 原作はゲリン・ヤンの『陸犯焉識』。イーモウ監督が初めて読んだ時大きな感銘を受けた小説で、文化大革命で自身が工場や農場で強制労働をした経験を持ち、社会背景や人物を熟知した監督にとって、映画化は自然の流れだったという。しかし、今の中国において、そのすべてを描くにはまだ多くのデリケートな問題をはらみ難しい。そこでイーモウ監督は小説のエピローグに描かれた、最後に家に帰るくだりを映画の始まりとして、小説全体の歴史的背景は登場人物の細部とせりふに凝縮する“一滴から太陽が見える”という控えめで含蓄ある境地を描く中国式美学手法を採った。若い頃の情熱と熟知した技術の両方を動員したという監督は、物語の裏側にある感情を忘れないでほしいと話す。

妻への家路
© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

 文化大革命で引き裂かれた夫婦。20年ぶりに解放された夫は妻と再会するが、待ちわびた妻はその心労のため記憶喪失となり、愛する夫の姿や顔だけを忘れてしまう。夫は妻に自分を思い出してほしいと娘の協力を得て奮闘する。収容所で書き留めた妻への何百通もの手紙を、目の前で読み上げる夫、だが妻はそれが夫だともわからない。

「5日に帰る」と書かれた夫から手紙に、再会への期待を胸に駅でひたすら夫の帰りを待つ妻。そのそばにいつも寄り添うのは夫なのだが。果たして彼女の記憶が戻る日は来るのか…。
この世で最も切ない夫婦の愛の物語、中国映画『妻への家路』。今週末3月6日(金)公開。

【今日の一言】
前評判も聞いていた本作『妻への家路』。「愛」のあり方について考えさせられた。年を重ねた方にこそ観てほしい作品。それは明日の生き方にも影響を及ぼすに違いない。あなたが愛するすべての人々への想いとともに。

妻への家路
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2015年3月6日(金)
TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開

【作品概要】
『妻への家路』
原題:歸来、COMING HOME
2014年 中国
カラー/110分/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:水野衛子
監督チャン・イーモウ『初恋のきた道』『単騎、千里を走る。』
脚本:ヅォウ・ジンジー『単騎、千里を走る。』
出演:チェン・ダオミン 『HERO』
   コン・リー『シャンハイ』
   チャン・ホエウェン
配給:ギャガ
© 2014, Le Vision Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved
HP:http://cominghome.gaga.ne.jp/

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