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NHK連続テレビ小説「マッサン」島爺役高橋元太郎さんトークショー 取材レポ



朝ドラ「マッサン」

こんにちは 上野まり子です。
NHK連続テレビ小説「マッサン」が9月29日(月)スタートした。高い視聴率で終えた前作 「花子とアン」に続く新しい物語は広島・竹原で日本酒づくりを学び、日本のウィスキー誕生を支えた竹鶴政孝とその妻リタがモデルの夫婦の奮闘記だ。


朝ドラ「マッサン」

10月4日(土)には番組のスタートを記念して、第1週「鬼の目にも涙」BSプレミアム放送分を生で視聴するパブリックビューイングとマッサンの実家 亀山酒造 番頭・島爺(しまじい)役の高橋元太郎さんを迎えてのトークショーが銀座の広島ブランドショップTAUにて開催された。同席はNHK大阪放送局チーフプロデューサー櫻井賢氏。司会に「お好みワイドひろしま」などを担当するNHK広島放送局小松宏司アナウンサー。9時20分からと朝早い中、広島県出身者など多くの方が会場に足を運んだ。

生放送視聴後にスタートしたトークショーでは会場後方からにこやかに登場の高橋元太郎さんに大きな拍手が贈られた。まずは櫻井賢チーフプロデューサーが視聴頂いたのは物語の原点となるマッサンとエリーの旅立ちの週だった。これからの半年間、二人がどのように生きていくのかをお楽しみ頂きたいと挨拶した。


朝ドラ「マッサン」島爺役:高橋元太郎

このところツイッターなどを賑やかせている「島爺」。ドラマ出演のオファーにびっくりしたと話す高橋元太郎さんは、70歳過ぎなのに「かわいい」の反応には驚いたが、嬉しいことだと目を細めた。また特にエリー役のシャーロット・ケイト・フォックスさんの表情や台詞の間、そして彼女の努力がとても素晴らしいと絶賛した。日本語が出来るハーフの人も多く活動している中、全く日本語が出来ない女優を抜擢したことにさすがはNHKと感じたそうだ。

朝ドラ「マッサン」櫻井賢チーフプロデューサー そのキャスティングをしたご本人櫻井チーフプロデューサーも全く想定外だったと話す。通常ヒロインを選ぶには3000人から4000人程をオーディションしているが、今回は特殊な役どころだったため、国内にこだわらず、広く世界に人材を求めた。

オーディションが盛んな欧米のこととあって多くの応募があったそうだが、櫻井氏自身は海外オーディションはしたものの、やはり国内の俳優に決定するだろうと予測していたそうだ。インターネットを通じたオーディションを繰り返している中で、日本人にも安心して観て頂ける顔立ちや雰囲気を持つシャーロットさんが候補となった。

日本に招いての最終オーディションでは日本語が出来なかったが、ぜひシャーロットさんでやりたいという声が多く、決定に至ったと貴重なエピソードを紹介した。


朝ドラ「マッサン」島爺役:高橋元太郎 高橋さんも最初は小柄で普通の女優さんというイメージだったが、徐々に穏やかな光を放ち始めたとその印象を述べた。シャーロットさんとエリーの成長が重なり、楽しみだという。

高橋さんは台詞を覚える邪魔をしないように気遣っていたそうだが、週の最後の撮影時に声をかけそうだ。それは彼女の幼い頃の膝の怪我や歌手でもある高橋さん自身のカントリー音楽の話など。すると翌週月曜の最終撮影の際に「お話が出来て、自宅に帰ったようで嬉しかった。いつか 一緒に演奏したい」というメッセージ付きのプレゼントを頂いたそうだ。

開けてみるとそれはカントリー音楽に欠かせないハーモニカ。時間もない中、良く探してくれたとその気遣いに感動したという。「僕の宝だ」というそのハーモニカでワンフレーズを披露し、その嬉しさを会場の皆さんにもお裾分けしてくれた。そののどかな音色は舞台となった竹原の風景にも良く似合うと小松アナ。

音楽の話が出てところで、櫻井チーフプロデューサーからも主題曲のエピソードが紹介された。ドラマの要素を全て凝縮したような中島みゆき作のこの曲、録音の際には涙が止まらなかった。その感動はもう撮影が終わったと錯覚する程の充実感だったという。スタッフをも応援してくれているような曲、「たまらなくありがたい」、「このドラマをやって良かった」という言葉には実感がこもっていた。

この話にはまだ続きがある。録音するとすぐに主演の二人にも聴かせたそうだが、シャーロット用には英語の訳詞も準備してあったそうで、彼女も感激で涙したという。 高橋さんは「僕にはなかったな」と話しつつ、曲の始まりのバグパイプがとても雰囲気を醸し出している。YouTubeで覚えて年末のディナーショーに向けて練習中とのことだ。

朝ドラ「マッサン」島爺役:高橋元太郎

ところでベテランの高橋さんにも広島弁は少し難しかったという。但し、そのつたなさが反って 島爺の魅力になったのではないかと話す。

また世の中の反応を見ると、演技というものは視聴者の心を打ってこそ、評論家の声ではなく、視聴者の見方によるというのが正しいのだろうとも話 した。

「こんなお爺さん、いる、いる!」という孫の言葉に大成功だなと実感したという高橋さん。舞台が大阪に移ると島爺がもう出てこないのではという視聴者の不安には、全くそんなことはないと櫻井チーフプロデューサーが断言した。

第2週の舞台は大阪だが竹原でも大波乱が起きる。木の樽で日本酒を作るシーンや樽で熟成するウィスキーづくりに男のロマンをかけたいというマッサンの想いが実際に現場で撮影することで伝わってきたという櫻井氏。 山崎の蒸溜所のセットでは仙台にあるNIKKA工場からモデルとなった竹鶴政孝が使用していた銅製の蒸溜釡も借りて磨き上げ、当時のウィスキーづくりの様子を再現している。

朝ドラ「マッサン」櫻井賢チーフプロデューサー 既に撮影の一部のシーンまで撮り終え、現在は9週を撮影している。今回のドラマの舞台は広島の竹原、大阪の住吉、山崎、北海道の余市と広範囲に渡り、セットの規模も大きいため予算もかかる。そこで撮影はセット割り、一度立てたセットでその地域のシーンは全て撮り終えるのがルール。日本一過酷と言われる朝ドラの撮影、月曜にリハーサルをした後は火曜から金曜の朝8時か ら撮影がスタートし、終了予定は夜11時、時には12時を回ることもある。そのようにして1週間 90分の放送分を撮影をしていく。

シャーロットさんにも事前に話してあったそうだが、「覚悟はしていたけれど、想像を遥かに超えている」というのが彼女の感想だ。
新幹線でも台本を何冊も抱えての移動。実はシャーロットさんの台本は大変なことになっている。 日本語の上にローマ字が乗せられ、その意味が書き込まれているという複雑なもの。普通でも収録の際に8冊は持ち歩くという台本、シャーロットさんのものは数倍ということになる。ちなみ にシャーロットさんの分は文明の力を借りてタブレット端末に。これならスイスイと指で横に送るだけ、シャーロットさんも集中できるというものだ。

それにしても「彼女はすごい、すごい!」と連発する高橋さん。大正から昭和にかけての時代、ドラマでのエリーの進展とシャーロットの成長がリンクしていくのも楽しんでほしいと話した。

視聴者からの高橋さんへの「広島の撮影の思い出は?」の質問にはすぐに「昔のまま残る竹原の町が素晴らしい」という答え。“朝ドラ”の舞台になった町は観光客が多く訪れるようになる。今年 は竹原駅前にホテルを建てるそうだとホットなニュースも提供した。

高橋元太郎さんは最後に玉山鉄二君とシャーロットがまるでマッサンとエリーのようだ。またエリーとシャーロットが徐々に日本に馴染んでいく、その成長ぶりも楽しみだ。自身も視聴者と同じ気持ちで観ているという高橋さん、最後に「何かあります、面白いドラマなので最後までご覧下さい」と挨拶した。

撮影真っ最中、このドラマには親が子を想う気持ちや、離れてみての故郷へも想いなどが盛り込まれている。外国人の妻を迎える話ではあるが、エリーの目線はかつての古き良き時代の日本を想う現代人の目線でもあり、改めて見つめ直し、様々なことを感じてほしいと櫻井チーフプロデュー サー。最後までお楽しみ頂けますように宜しくお願いしますと挨拶した。

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朝ドラ「マッサン」島爺役:高橋元太郎  朝ドラ「マッサン」櫻井賢チーフプロデューサー

さて、その後に行われた取材会。 高橋元太郎さんはイベントの印象を訊かれ、朝早くから多くの方に来場頂きありがたいの一言だ。“朝ドラ”では様々な方言が流行になるがという質問には、意図するものではなく、視聴者の皆様から自然に広まるものだろうとした。

またイベントで紹介したシャーロットさんからのプレゼントのハーモニカ、彼女の“ありがとう”の気持ちがこもっていた。渡された時には“ウォー!”と心から嬉しかったと高橋さん。劇中でそのハーモニカを使用することは?の質問には面白いアイディアを頂いた、北海道編であるかもしれないと櫻井プロデュ-サー。

"島爺"を一番良く表しているのは?と質問すると、マッサンとエリー、それに妹のすみれの三人に マッサンの母親の口ぶりをまねして励ますところなど、現場も和気藹々で、島爺の人柄が良く出ていたと紹介した。

また櫻井プロデューサーは様々な苦労を乗り越え、やっと放送が始まったという感だ。物語はスコットランド、竹原、大阪、北海道と広範での転戦で季節を取り込み、どのようにホームドラマにしていくかも課題だ。それにしても羽原大介氏はよく「島爺」という誰にでも親しみやすい名前をつけたものだと感心しきりだった。

【放送案内】
連続小説「マッサン」平成26年9月29日(月)スタート

 (総 合) 月〜土 午前8:00〜8:15  (再)午後0:45〜1:00
 (BSプレミアム)月〜土 午前7:30〜7:45  (再)午後11:00〜11:15
   <再 1週間分>  土 午前9:30〜11:00
ホームページ:http://www.nhk.or.jp/massan/index.htm
取材地:広島ブランドショップTAU 3Fイベントホール

【今日の一言】
このように貴重なエピソードや制作現場を聞くことが出来て、良い取材となった。
物語は始まったばかり、これから二人がどのような成長を遂げていくのか、楽しみだ。
ちなみに「竹鶴」はとても美味しい大好きなウィスキーだと付け加えておく。但し私はただ今禁酒中だが・・・。

【関連書籍ご紹介】

連続テレビ小説 マッサン Part1 (NHKドラマ・ガイド)


NHK連続テレビ小説 マッサン 上


「マッサン」と呼ばれた男 竹鶴政孝物語 (NIKKO MOOK)



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