上野まり子のアジアンスター

キム・ギドク作品『嘆きのピエタ』日本公開中

『嘆きのピエタ』
『嘆きのピエタ』
© KIM Ki-duk Film, All Rights Reserved
6月15日(土)よりBunkamura ル・シネマ他にて全国順次公開
公式HP
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こんにちは 上野まり子です。
世界の強豪揃いの中、2012 年ヴェネチア国際映画祭で見ごと「金獅子賞」を獲得した『嘆きのピエタ』が現在日本で公開中だ。監督はすでにカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界三大映画祭で各賞を制覇してきたキム・ギドク監督だが、今回のグランプリは韓国映画史上初の快挙だ。 <ピエタ>とは十字架から降ろされたキリストを胸に抱く慈悲深き聖母マリア像のことを指す。またイタリア語で「哀れみ」、「慈悲」という意味を持つ。キム・ギドク監督はバチカンのサンピエトロ寺院で見たミケランジェロ作のこの像からヒントを得たという。

「金で人を試す悪魔」と呼ばれ、憎まれてきた男が初めて知った母の愛。それによって初めて人間の血が流れるものの、それは予想をことごとく裏切り二転三転。そして最後に突き付けられる驚愕の真実。魂の慟哭が聞こえてくるような想像を絶するラストシーンで、観る者を未曾有の衝撃と感動で打ちのめす。

イ・ジョンジン

魅力的な笑顔に封印して天涯孤独で悪徳非道な借金取りイ・ガンドを演じたのはイ・ジョンジン、残忍な悪事をためらわず犯すが、内面は幼児性を残す人物像を見事に演じた。驚くべき演技吸収力で白紙のような俳優とキム・ギドク監督は賞賛する。母親と名乗る謎の女ミソンを演じるのは“精巧で正確”な演技力を待つチョ・ミンス。
通常は2ヶ月ほどかかるキャスティングも監督が候補に上げたのはこの二人、決定まで10日とかからなかった。キム・ギドク監督は自分が俳優を選択したのと同時に、自身が選択されたと言っている。チェ・ミンスはキム・ギドクの持つ色に好奇心があり出演した。これまでお金を頂いて演じてきたが、この作品で情熱を貰ったというチョ・ミンス。一方、イ・ジョンジェも監督作品と思えば解釈し易かったと深い信頼を表現した。 10日間の撮影、効率を図るためキム・ギドク監督自身も撮影に加わった。

この映画は、母あるいは母性について語っているとも言えると語るキム・ギドク監督、シナリオを書き進める内に復讐の残忍さを別の角度から解釈する結末を考えた。悟りによって、また別の悟りを得ることになるとインタビューに答えている。 韓国社会だけではなく多くの国が抱える資本主義の犠牲。次第に行きにくくなっている現況の中、映画を通して生きる価値のある世界を作りたいと願う。
数多いバイオレンス描写とは一線を画す卓越した映像と、愛ゆえに強くも脆くもなる人間の姿を描いていく。

【概要】
嘆きのピエタ(英題:Pieta)
2012 年/韓国/104 分
脚本・監督:キム・ギドク
出演:チョ・ミンス、イ・ジョンジン
提供:キングレコード、クレストインターナショナル
配給:クレストインターナショナル
© 2012KIM Ki-duk Film, All Rights Reserved
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【受賞リスト】
  2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)受賞
  2013年アカデミー賞外国語映画賞韓国代表作品

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